間違った強さを手にしていた。

 

私は私で他の誰でもない。私には出来ないことを出来る人はすごい。だってそれは私には出来ないから。出来ないことが恥ずかしいことなんだと知っているから。出来ないと笑われた。「どうしてこんなこともできないの?」出来ないから出来ないんだよ。何度やったって、何度練習したって出来ないものは出来ないし、無理なものは無理。だから自分を誤魔化すようになった。どうにか他人にバレないように。失敗は恥ずかしいことで、やってはいけないこと。私が命を削って作ったものが誰かの笑いものになるなんて耐えられなかった。それは私にとっては傑作なのに。頑張った証なのに。「なにこれ笑」「下手くそ笑」に対して「やっぱり?笑」「だよね笑」としか返せなくて。顔では笑ってても心は泣いてた。しくしくしく。自分で自分の作品に「だよね笑」なんて言ってしまうのも自分が弱いから。「そんなことないじゃん!」なんて言える強さも度胸も私にはない。しくしくしく。たくさん傷ついた心は棘だらけで、自分を守るのに必死で。

 

そうやって生きてきたら、褒められたらなんて返したらいいのか分からなくなった。傷だらけの心は優しさに弱い。「すごいじゃん!」「そんなことないです」「ここよく出来てるね」「そうですか?わからないです」

本当は嬉しいくせに粗を探して自分を否定するのが癖になった。素直じゃない。こんな私でも愛してくれますか?愛されたいと思うのはいけないことなのですか?