しあわせのかけら

 

「どこか」が台湾だなんて思いもしなかったんだ私は。

 

 

この世には頑張れ、負けるなって、所謂応援ソングがそれはもう星の数ほどある。きらきらした音楽。私が聴いてきた曲はどれもが自分自身を振り返り、頑張ってみようかなって気持ちにさせた。努力は必ず報われるって、何度も自分に言い聞かせた。だからたくさん努力した。

ダンスを習っていた時は選抜メンバーに入りたくて、帰ってから自主練して出来なかったステップは絶対次までに完璧にしたし、振り付けだって覚えたし、あの子よりも笑顔であの子よりも楽しそうに踊りたいと思っていた。水泳部だったときは毎週土曜の夕方スイミングに行って、もっと速く、もっと綺麗に泳ぎたいと思っていた。テニス部だったときはダブルスの競技なのに人数が5人で、いちばん下手で足の遅い私はいつもハブで勝っても2回戦に行けない試合だったり、別の学校の人とペアを組まされてた。だからあいつより絶対上手くなりたくて、サーブの入る確率を上げて、アウトしないギリギリのラインを攻めて、振り回されたって転んだって絶対諦めないで走り抜けて。毎日部活が終わってから、テニスコートまでの車の中で晩御飯を早食いして着替えてまた練習して。でもそれで勉強ができないなんて思われたくなかったから朝早く起きて課題やって自学ノートは文字でびっしり、見返してわかりやすいノート、何度も繰り返し問題を解いて、1日1ページでいいのに2ページ3ページやったりして。

 

負けず嫌いなんだ。多分。

でも、たくさんたくさん努力したって、自分より努力してる人はたくさんたくさんいる。どんなに頑張っても選抜に入ってもセンターにはなれなかったし、金メダルには手が届かなかったし、ここぞというときの1番手にはなれなかった。努力をしても才能には勝てなかった。たくさん泣いたし、どうしても練習に行きたくなくて親に反抗してコートに行かない日もあった。

 

全部誰のため?親のため?仲間のため?

誰でもない自分のためでしょう?

学生の時は目標があってそのために何かしらに一生懸命だった。夢なんてたいそれたものは持っていなかったけど。

友達も少なかったし、休日どこかに友達と遊びに行くなんて片手で数えるくらいしかしたことないし。教室ではほとんど机に突っ伏して寝てるフリか本を読んでるかトイレの個室に逃げる日もあったかな。

 

淡く消えそうな灯りでいい。

私が初めてちゃんと聴いた時に、心にそっと寄り添ってきた詞。

1番になりたかった。強くなりたかった。失敗が怖かった。どれだけ自分に厳しくしたって私は弱い。でもそれでいいんだって、思えた。頑張りすぎなくてもいいんだ。自分に優しくなれた。

 

そしたら毎日が輝き出した。

 

「最近よく来るね」

「ハマってるじゃん!」

「大好きが止まらないじゃん!」

「あたしあなたがいたらそれでいい!」

「あたしのよ!」

「次またすぐ会える?」

「出会ってくれてありがとう」

「今の全部あたしが言ったのよ!」

「今日見えたよ、たくさん見えた!」

「あたしが幸せにしてあげる!」

 

「またね!!」「また明日ね!」

 

いつもひとりで特典会に並んでいたのに「こっち」って手を引いて一緒に並んでくれる人がいる。スマホとにらめっこばかりしていたのに、待ってる間たくさんお話してくれる人がいる。「あ、お疲れ様です」って声をかけてくれる人、手を振ってくれる人、「ミキちゃんいるよ」って声をかけてくれる人。一緒にお泊まりしてくれる人。「お誕生日おめでとう」って日付が変わる瞬間に言ってくれる人たち。私が「20歳になるまで待つ!」ってお酒開けるの我慢してくれる人。10代最後の日を最高に盛り上げて楽しませてくれる人たち。毎日リプくれる人。泣いていたらよしよしって頭撫でてくれる人。ぎゅうって抱きしめてくれる人。

 

1人、2人、3人、4人。気づけばたくさんの人が私の周りにいた。

 

いつもひとりでいた分、話し下手で面白い人間じゃないけど、私はみんなといる時がいちばん楽しい。みんなが幸せそうに推しの話をしているとき、私も幸せになるんだ。

 

これからもどうかよろしくね。

 

 

「あなたはあたしのこと好きすぎよ」

そうだよ好きだよ。伝わっててうれしいな。でも、まだまだだよミキちゃん。もっとだよ。あなたが想像してるよりもっと。

 

ミキちゃんがアイドルじゃない時も、私の中ではきらきら輝くアイドルだったよ。いつだって元気をくれる存在。大好きで堪らないんだ。会えない時間は長すぎて、やっと会えた時間は一瞬で過ぎてしまって。でもその一瞬一瞬が全部きらきら、ぴかぴかの私の宝物。そんなかけがえのない宝物をくれるのはいつだってみんな。ミキちゃんもぺいちゃんもきまるくんもはくちゃんも。あなたたちみんな。私の大好きさん!

 

 

「どこか」が台湾だなんて思ってなかったな。でもあなたが美味しいものを食べて、楽しく過ごして、幸せだなって思っていたら、それは私の幸せだから。今日も「どこか」で笑っていて。

 

 

また明日!


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